新年が始まると、耳にする機会が増えるのが「確定申告」というフレーズ。
“確定申告はフリーランスがするもの”というイメージが強いですが、いまやふるさと納税や副業をする人たちが増え、今まで確定申告をしたことのない人にもぐっと身近な手続きになってきました。
今回はその確定申告について、解説していきます。
そもそも確定申告とは?
確定申告とは、所得の計算をして税務署に申告・精算する手続きのことです。所得とはわかりやすくいうと仕事の結果「もうけた」部分を指します。
所得の種類は、利子所得・配当所得・事業所得・不動産所得・給与所得・退職所得・譲渡所得・山林所得・一時所得・雑所得の10種に分類されます。
確定申告では、収入や経費、各種所得控除や税額控除などを全て計算して、この10種の所得金額を集計し、すでに源泉徴収されている場合は精算して、納付するべき税額を確定させます。
10種の所得のうち、給与所得だけは会社で行う「年末調整」で所得税の申告・精算手続きをすることができます。
ですから、勤務している1か所以外からの所得のみのサラリーマンの大半は、確定申告が必要ないのです。
確定申告のやり方は?
確定申告の期限は、対象となる年の翌年2月16日~3月15日までに手続きするのが原則です。
申告書類は国税庁のホームページからダウンロードすることが出来ます。
また、国税庁のホームページの確定申告書等作成コーナーで、画面の案内に沿って金額などを入力していくことにより、簡単に申告書を作成することも可能です。
作成した申告書類はe-Tax(国税の電子申告・納税システム)を使って電子申告するか、印刷して所轄の税務署に、郵送で提出する方法などがあります。
確定申告をしなければならない人は?
国税庁のホームページには、以下の表に当てはまる人は確定申告が必要であると記載されています。
少しわかりにくいので、簡単にみていきましょう。
先ほど説明したように、10種の所得のうち、給与所得のサラリーマンは会社の年末調整で基本的には完結するケースがほとんどです。
サラリーマン(給与所得)の場合とそうでない(それ以外の所得)場合で、具体的にどのような人が確定申告をしなければならないのかみていきましょう。
〈サラリーマン(給与所得者)の場合〉
〇給与の年間収入が2,000万を超える人
〇給与所得以外の所得の合計金額が年間20万円を超える人
〇2か所以上から給与所得をうけている人で、年末調整されなかった給与の収入金額が合計20万円を超える人
〇同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子などを受け取っている人
〇災害減免法などで源泉徴収の猶予を受けている人
〈サラリーマン以外(給与所得以外の所得者)の場合〉
〇その年の所得金額の合計額が所得控除の合計金額を超える場合(超える、ということは納付するべき所得税が発生する場合という意味です)
確定申告をした方がいい人とは?
確定申告をする義務がなくても、申告をすると税金還付などのメリットを受けられる場合があります。
年末調整だけで完結している人も、昨年1年間に対象となるようなものがないかチェックしてみましょう。
- ワンストップ特例制度を使わずにふるさと納税をした場合
- 年末調整で申告ができなかった控除がある場合
- 退職したのが年の途中で、その後就職していない場合
- 投資によって赤字が出た場合
- 住宅ローンを組んだ場合
- 医療費が10万円を超えた場合
- 副業先で源泉徴収を受けている場合
住宅ローンを組んで住宅を購入した、特定増改築を行った場合は「住宅借入金等特別控除」を利用できる場合があります。この控除は初年度に確定申告が必要です。
次年度以降は年末調整で受けることができます。
この控除は「税額控除」といって、扶養控除や医療費控除よりも還付額が大きくなる傾向があります。
家の購入や増改築を行った人は、是非確認してみましょう。
医療費控除とは、1年間の医療費総額が10万円を超える場合に受けられる控除のことです。年末調整では受けることができません。
本業の勤務先以外で源泉徴収が行われている場合、確定申告で所得税が還付される場合もあります。源泉徴収されているかどうか、明細をチェックしてみましょう。
まとめ
今回は確定申告について解説しました。
近年では厚生労働省の「働き方改革実行計画」により、サラリーマンへの副業や兼業が推奨されるようになりました。企業も足並みをそろえて副業を認める動きが少しずつ広まっています。
これにより、今まで年末調整だけで完結していたサラリーマンにも、確定申告が必要なケースが増えてきました。
申告義務がある人が確定申告をしなかった場合、当然ながら罰則があります。
本来納付するべき金額に加えて、加算税や延滞税といった罰金が科されますので注意が必要です。
年初の忙しい時期ですが、昨年を振り返り「確定申告の義務はないかどうか」を確認してみましょう。